
← ソロプレナーラボ | 学んで実践するアプリ・サービス開発のラジオ15 sept · 25 min
なぜあなたのSaaSは、作り終わってから客を探すことになるのか
<p>「重複したサポートチケットを、自動でひとつにまとめるアプリ」。地味ですよね。でもこの開発者は、そういうアプリを14個以上積み上げて、月商 €44,000(約780万円、1ユーロ=178円換算)に到達しました。社員ゼロ、資金調達ゼロ。ルーマニア出身、アイルランド在住のソロ開発者 Sorin Alupoaie さんと、彼の Swifteq の話です。</p><p><strong>今日の学び:</strong> 客をゼロから集めるのではなく、客がすでにいる場所に出店する。</p><p>※ 数字はすべて Indie Hackers の記事と Swifteq 公式サイトによるもので、最新の公開数値は2025年11月20日時点です。2026年の数字は公開情報では確認できませんでした。なお今回の題材は通常の検索ログではなく、別途調査して選定したものです。</p><h3>取り上げた内容</h3><ul><li>Swifteq(Sorin Alupoaie/ソリン・アルポアイエさん、ルーマニア出身・アイルランド ダブリン在住、ソロファウンダー)— カスタマーサポートツール Zendesk に機能を足すアプリを、Zendesk の公式アプリマーケットプレイスで販売。2020年創業、最初のアプリは「Merge Duplicate Tickets」(重複チケットの自動統合)</li><li>公式サイトの表記では、アプリ14個以上、サポートチーム400社以上、累計$5M以上のコスト削減。原則は「enhance, not replace(置き換えるのではなく、強化する)」</li><li>アプリの中身はどれも地味: 重複チケットの統合、添付ファイルの自動削除、チケットの自動分類、ヘルプ記事の一括操作・翻訳・分析・書き出し、返信文の作成支援、会話のリアルタイム翻訳、検索強化など</li><li><strong>最大の発明は販路</strong>: Zendesk のアプリマーケットプレイスに出店したこと。Starter Story いわく「Zendesk のアプリマーケットプレイスには、特定の解決策を探している Zendesk ユーザーが訪れる」。広告もSEOもゼロから戦う必要がない構造</li><li>ほかの集客チャネル(Starter Story のまとめ): ①無料ツールによる「エンジニアリング・アズ・マーケティング」②業界専門家によるコンテンツマーケティング ③Reddit等の有料広告(当初は成功したが、その後パフォーマンスが低下。※この記述は Starter Story によるもので、本人の発言ではありません)</li><li><strong>価格設計</strong>: 料金はアプリごとに別。「重複チケットをまとめるだけ」の Merge Duplicate Tickets が Starter 月€59(約1万500円/月15,000チケット)、Professional 月€119、Business 月€179、Premium 月€249、Advanced 月€299(約5万3,000円/月20万チケット)、それ以上は Enterprise 個別見積もり。全プラン14日間の無料トライアル、溜まった重複の一括整理は別料金で €199〜</li><li><strong>一度目は失敗している</strong>: 2016年の Cx Moments で、プロトタイプと受注見込みを得た勢いで会社を辞めた。本人の言葉で「僕は給料なしでやっていける状況ではなかった。つまり、早い段階で投資を探さなければならなかった」「これが負の連鎖につながりました。早すぎる持ち分の希薄化と、根拠のない安心感を含めて」。2017年にエンジェル投資家からかなりの額を調達し、プロダクトは死んだ</li><li><strong>二度目は真逆</strong>: 生活費を貯めてから副業として開始し、自分にまともな給料を払えるようになるまで続けた。副業開始から約1年後、月€5,000(約89万円)でフルタイムへ。本人の言葉は「常に、副業から始めなさい。新しい事業を始めるために、本業を辞めては絶対にいけない。たとえ多少の貯金があっても、投資家がいても、です」</li><li><strong>価格の反省も公開</strong>: 「最初の価格設定が安すぎた。しかも修正が遅かった」安い価格はマス向け・消費者向けの市場では機能するかもしれないが、ニッチなB2Bプロダクトではそうではない、という趣旨の指摘。ほかにマーケティングの軽視、SEOのインデックス問題を数ヶ月放置、開発を抱えすぎて任せなかったことも挙げています</li><li>成長の推移(1ユーロ=178円換算): 2020年創業 → 副業開始から約1年後に月€5,000(約89万円)でフルタイム化 → 年商€100,000(約1,780万円)到達(※本人のMedium記事タイトルより。正確な時期は未確認) → 2024年6月 月€20,000超(約356万円)・顧客300社以上・前年比120%成長 → 2024年11月 月€26,000(約460万円) → 2025年11月20日 月€44,000(約780万円、年換算 €528,000=約9,400万円)</li></ul><h3>アクションプラン</h3><ol><li>あなたのプロダクトが乗れるマーケットプレイスを3つ書き出す(Shopify、Slack、Notion、Figma、Chrome拡張、Zapier、kintone、Salesforce など)。そのうち1つのアプリストアを開き、レビュー欄の「この機能がない」という不満を読む。それがそのまま仕様書になります</li><li>大きな機能リストから「単体で売れる最小の1個」を切り出す。そのうえで価格を今考えている額の2倍にしてみて、「それでも買う人は誰か」を考える。ニッチB2Bでは安さは武器になりません