
← あたらしい経済ニュース(幻冬舎のブロックチェーン・仮想通貨ニュース)6 okt · 51 min
オンチェーン金融とステーブルコイン、金融危機に備えるリスクマネジメントとは?(「そうだったのかブロックチェーン Ep.20」内田善彦・酒井勇也・大津賀新也)
「そうだったのかブロックチェーン」Ep.20
このポッドキャスト番組では、日銀・金融庁で銀行監督の経歴をもち、現在は周南公立大学情報科学部でブロックチェーンについて教鞭を執る内田善彦と、グルメアプリのファウンダーとして、Web2サービスにブロックチェーンを掛け合わせWeb3事業を構築したキャリアを持つ酒井勇也、そしてクリプト専門メディア「あたらしい経済」副編集長の大津賀新也の3人が、ブロックチェーンについて今知っておくべきことを紹介します。
第20回目となる今回は、前回に続き「市場の安定と金融秩序」をテーマに、金融秩序を保つための「リスクマネジメント」とは何かを議論しました。
まず、リスクマネジメントの目的はリスクをなくすことではなく、発生確率や損失の大きさを管理することにあると説明。金融システム全体では、社会的な損失と、リスクを取ることで得られる経済的なメリットのバランスを考える必要があると確認しました。
リスク対応には「保有」「回避」「移転」「縮減」の4種類があり、個々の主体が健全でも全体は不安定になりうるため、当局はマクロの視点で危機の芽を捉えようとします。危機を深刻化させる要因として、景気の変動を増幅する「プロシクリカリティ」、市場参加者間の相互連関である「インターコネクテッドネス」の強まり、損失を吸収する力である「レジリエンス」の低下を整理しました。
そのうえで、リスクの価格付け・レバレッジ・短期流動性・相互連関という観点から市場を観測する枠組みを提示しました。暗号資産を資本市場、ステーブルコインをノンバンク金融や市場型金融の観点から分析する考え方を紹介。暗号資産・ステーブルコイン・DeFiを一体的に捉えるFSBの視点や、同じ活動・同じリスクには同じ規制を適用するというIMFの考え方にも触れました。
ステーブルコインは「準備資産があること」だけでなく、「必要なときに実際に法定通貨へ償還できるか」が重要で、裁定業者による大量償還といったシナリオ分析が欠かせない、という論点にも触れました。各参加者が自分を守るために合理的に行動しても、償還の集中や準備資産の売却を通じて、金融市場全体に影響が広がる可能性を議論しています。
続いて、株式市場の「サーキットブレーカー」を例に、取引を停止して危機の連鎖を抑える仕組みの役割を説明しました。暗号資産市場では、一つの取引所が売買を止めても、他の取引所やDEXでは取引が続くことに触れ、市場全体のリスクに備える必要性を確認しました。
最後に、「オンチェーンファイナンス」を議論する際には、DLT(分散型台帳技術)の活用、トークン化、パブリックチェーンの利用を区別し、具体的なメリットとデメリットを検討する必要があると指摘。規制とは各国の「意思(ウィル)」の表れであり、他国に無条件で追随するのではなく、冷静な議論の積み上げが必要だ、と問題提起しました。
次回、第21回目は2026年10月13日に配信予定です。第2部の延長戦として、日本や主要国の金融規制・暗号資産関連業務規制の現在地を取り上げます。資産、発行体、仲介者、市場インフラなど、規制が何を対象としているのかを整理し、各国の立ち位置や目指す方向の違いを考えていきます。
【出演者】
・内田善彦